ムカデさんはごめん臭い靴が好き
2020.05.07
ムカデさんはごめん臭い、あっ!こりゃまた臭い、あ~くっさ~!※な靴がお好き?
※「ごめんくさい、あっ、こりゃまたくさい、あ~くっさ~!」は、吉本新喜劇 チャーリー浜さんの代表的なギャグの一つとして知られています。
靴を履くときにムカデさんに噛まれて痛い思いをした方、きっとたくさんいるのではないでしょうか?
桜の季節が終わり、ぽかぽか陽気が続く頃になるとよみがえる、あの痛み…。
そもそも、どうしてムカデさんは靴の中に入るのでしょう?
その答えはムカデさんの身体に隠されています。
ムカデさんには大きく鋭い毒牙(どくが)と太短い触角、そして小さな瞳と小さなお口、細長い胴体にがっちりとした脚がたくさんついています。
① ムカデさんの視力は弱く、至近距離に獲物がいても動かなければ気づきません。
② 握力が強いので手指の繊細な動きは苦手で、細かな工作はできません。
③ 逃げ足はそこそこ速いのですが、獲物を追いかけて仕留めることはできません。
④ 得意のかかと落しならぬ“毒牙(どくが)落し”は命中率が低く、空振りしてばかりです。
そんな絶望的に不器用なムカデさんなのですが、1つだけズバ抜けた能力を持っています。
それは、「水」を見つけること。
乾いた住宅内に迷い込んでしまい出られなくなったムカデさんは、喉が渇くと飲み水を探して水場へと向かいます。
眼も見えず、物を触って探したり、音を頼りに探したり、ニオイを頼りに探すことも苦手なのに…。
ムカデさんは眼も指先も、耳も鼻も頼りにならない身体ですが、湿気を感じる力だけは他の誰にも負けません。
空気中に漂うわずかな湿気を感知して、その湿気の発生源を突き止めます。
玄関で迷子になったムカデさんはほんの1~2日のうちにお風呂やトイレ、洗面所や台所へと移動します。
そして水1滴でもあれば、とりあえず一安心。 餓死することはありません。
実は、ムカデさんの太短い触角は、超-高性能な湿度センサーになっているのです。
玄関に迷い込んだムカデさんが靴に潜り込む理由はこれ。
かすかに感じる湿気を頼りにひとまず潜り込んだら「靴」だった…というわけです。
また特に「ごめん臭い、あっ!こりゃまた臭い、あ~くっさ~!」な靴ほど
じと~っと湿気がこもり、ムカデさんにとって決して快適ではないものの(ムカデさんは本来、きれい好きです…)一時しのぎの野営(やえい)には都合がよいのです…。
あともう一晩もあれば、靴から這(は)い出して水場へと移動したことでしょう。
そんなタイミングで靴に足を踏み入れたときにムカデさんに噛まれるのです。
ムカデさんは一時しのぎの靴の中、きっと…
「…なんか…くっせー所だなや。まぁ、もっかい夜になったら水探しに行くべ…」と
思案しながら眠っていることでしょう。
突然の足の侵略に、「うぉあっ!!何すんねや! あっち行けや!」と全力で噛みついて反撃するのも、まぁ当然のこと。
誰でも無理やり起こされたら、腹立ちますよね…。
こんなあんばいでムカデさんもヒトもお互い大パニックに…。
鉢合わせを避けるため、「置くだけムカデンジャー」を玄関ドア脇に設置して、事故を未然に防ぎましょう。
また、「ごめん臭い、あっ!こりゃまた臭い、あ~くっさ~!」な靴は天気の良い時にしっかり洗ってよく乾燥させましょう。