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タニサケの コラム

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冬の虫さされを引き起こす加害生物と症状をご紹介します。

その他虫

近年、急速に進む温暖化や高断熱住宅の普及に伴い、冬の虫さされに悩む方も増えています…。
寒い冬にヒトを刺す虫は決して多くはなく、概ね数種類に限定されます。
冬の虫さされを引き起こす加害生物を、被害の多い順(主観)からご紹介させて頂きます。

冬の虫さされ 加害種 ①  チカイエカ

チカイエカは都市部では一年を通してごく普通に見られます。
真冬にまさか蚊が飛んでるなんて思わないので、多くの方は気にもしていません…。
チカイエカによる虫さされ症状は、蚊そのものです。
中央が平らに薄く盛り上がり痒みが襲ってきますが、しばらくすると収まります。
日没以降から積極的にヒトを襲うため、夜遅くに地下街や地下鉄を経由して帰宅する際には特にご注意ください。
冬のチカイエカ対策は、厚手の靴下やマフラーなどで皮膚の露出を避けるのが最も簡単で効果的です。

冬の虫さされ 加害種 ②  ツメダニ

通常、ツメダニは梅雨時の6~9月にかけて虫さされ被害を生じますが、実は冬でも刺されることがあります。それは、暖房と加湿機を併用している時です。
暖房により20℃以上の室温が常にあり、加湿器によって湿度が60~70%と高湿度になっている時に刺されやすくなります。
ヒトにとって適切な湿度とされる50~55%に湿度管理できていればさほど問題になりませんが、加湿し過ぎることによりツメダニの餌となる塵ダニ類が繁殖してツメダニも繁殖し、虫さされが増加します。
ツメダニによる虫さされ症状は、ポツっと小さく盛り上がり1~2個の発疹が残ります。痒みは蚊に比べるとやや強いものの、しばらくすると収まり夜になるとぶり返すという痒みに浮き沈みがあるのが特徴です。
加湿機を使用する際は、部屋の広さに合わせて湿度設定を可能な限り厳密に行うことをお勧めします。

詳しい形態は名古屋市HPにあります。

冬の虫さされ 加害種 ③  イエダニ

イエダニはネズミに寄生する外部寄生虫として知られるダニの一種です。
ネズミは寒さが苦手のため、冬になると暖かい建物内へと侵入します。
そして屋根裏や天井裏に侵入したネズミが餌をとれずに餓死すると、身体に寄生したイエダニが一斉に離脱してヒトを襲います。
イエダニによる虫さされ症状は、うっ血したような赤黒い1~2cmの細長い楕円形の発疹が腹回りや太もも、二の腕など皮膚の柔らかい場所を中心に生じます。
イエダニは下着の奥にまで潜り込んで吸血するため、別名スケベダニとも呼ばれます…。
痒みはとても強く、蚊とは比べものになりません。
イエダニによる虫さされを生じた場合は、ダニの駆除だけでなく宿主のネズミの駆除や死骸の撤去なども必要となるため、専門業者による適切な除染をお勧めします。

冬の虫さされ 加害種 ④  トコジラミ

トコジラミはチカイエカと同様、休眠性を持たないため冬でも活動します。

ただし、蚊のように野外に生息することは不可能で、ヒトの住環境に依存して潜伏しています。

冬のトコジラミは夏ほど活発でないため、吸血行動は暖房により室温が20℃以上となった時に限定されます。

トコジラミによる虫さされ症状は、人によって個人差が大きく、他の吸血昆虫類の様な固有の症状はありません。

人により異なりますが、うっ血した赤く小さな発疹の場合もあれば、蚊の時のように平らに盛り上がる場合や周辺一帯が広くカブレたように赤斑を伴うこともあります。

また、痒みの強さは尋常でなく、イエダニと同等かそれ以上です。

トコジラミはイエダニの様に下着の奥まで忍び込むことは無いため、患部は皮膚の露出した部分に集中します。露出した部分だけ刺されているなら、トコジラミの可能性が高いです。

トコジラミの駆除は極めて難しく、専門業者による適切な駆除が必要となります。

また近年、ピレスロイド系の殺虫剤に抵抗性を持つ「スーパートコジラミ」の出現が多くなっています。一般的な殺虫剤が効きません。おもに海外で繁殖したものが、インバウンドで旅行者とともに日本に来て住み着いたものです。こちらを持ち帰らないよう、出張・旅行の際は十分気をつけましょう。

冬の虫さされ 加害種 ⑤  ツツガムシ

*このほかにも何種類かいます。詳しくは宮崎県衛生環境研究所のHPへ

野ネズミの生息する山野に限定されますが、冬のキャンプなどに起因して被害に遭います。

一般的に住宅街でツツガムシに刺されることはありませんが、近年、山林を開拓して造成される新興住宅地が増えており、シカやイノシシなど野生動物とヒトとの接触も増加傾向にあるため注意を要します。

ツツガムシによる虫さされ症状は、非常に特徴的で患部に黒いかさぶた状の吸血痕跡が残ります。この特異な症状に伴い発熱や蕁麻疹を生じた場合は、皮膚科医など専門医による診察が必要となります。放置すると命を落としかねないため、くれぐれもご注意ください。

冬の虫さされにお悩みの方へ… 少しでもご参考になりましたら幸いです。

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