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タニサケの コラム

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ムカデは昆虫じゃないのに、どうして「むし」って言うの?

ムカデ

昆虫とはアリの様に、頭・胸・腹の3分割に脚が3対(計6本)ある生きものです。 ムカデは頭1・胸1・腹21の23分割に脚が21対(計42本)あります…。

つまり、ムカデは昆虫ではありません。
ちなみにクモは頭胸部1・腹1の2分割に脚が4対(計8本)あります。
クモも昆虫じゃないんです。

では、どうしてムカデもクモも昆虫じゃないのに「むし」って言うのでしょう?

昔は「体温のない生き物はすべて”虫”」

実は「むし」と呼ばれる理由は「虫」という漢字に秘められています。

昔々「虫」という漢字は、ヘビが頭を持ち上げて威嚇する様子からつくられました。
当時は現代のように生きものが学問的に分類されておらず、生きものはヒト・動物・魚・虫のたったの4つだけ…。魚を除いて体温の無い生きものはすべて「虫」に含まれていたのです。

「虫」から派生してつくられた「蟲」

この「虫」から派生してつくられた漢字がもうひとつの「蟲」。
どちらも「むし」と発音します。

この違い、わかりますか?
「蟲(むし)」は小さな虫がざわざわとうごめく様子からつくられた漢字で、現代でいう害虫をさしています。

実は、ムカデとクモはこちらの「蟲(むし)」なのです。

生きものの分類が学問的に細分化された現代、ムカデとクモは昆虫ではないけれど、昔々の名残から今もなお「むし」と呼ばれているのです。

「むし」にまつわる「蟲」の話でした…。

ムシムシくどいですね…失礼しました。