トップ > 虫コラム > 高度な環境測定を行うヒトスジシマカの卵のひみつ

高度な環境測定を行うヒトスジシマカの卵のひみつ

2022.04.05

「春」 旅立ちと挑戦の季節がやってきた。
虫たちにとっても同じで「春」をどう生きるかでその後の繁栄が左右される。

気温の上昇に伴いどこからともなく飛来する蚊。
白黒まだらの小さなヒトスジシマカもそろそろ卵から孵る頃。

彼らは竹の切り株や樹洞の雨水、空き缶や植木鉢の水受け皿など、ごく小さな水溜りをおもな繁殖地としている。
冬のあいだは卵で過ごし、春から孵化してボウフラ(幼虫)となり、1ヵ月ほどで蛹(さなぎ)をへて成虫となる。

ヒトスジシマカの卵はのちに水位を感知できるよう水溜りの水際の壁面に付着させるように産みつけられる。
小さな水溜りはすぐに干上がってしまう恐れがあり、水位の安定、つまりは継続的な降雨が生き延びるための必須条件となる。

寒い冬が終わり9℃以上の温度を感知すると発育を再開し、雨水を感知し、その後も安定した水位を感知し続け、さらに水に溶け込む溶存酸素濃度の低下を検出すると卵は孵化する。
確実に生き長らえるよう、複数段階に及ぶ孵化条件をクリアしてボウフラは誕生する。

水に溶け込む酸素の量(溶存酸素濃度)は他の微生物の活動をあらわしている。
ボウフラの餌はミジンコやアオミドロなどの微生物や落ち葉などの有機物であるから、ただ水があるだけでは餌を摂れず餓死してしまう。
そのためヒトスジシマカの卵は温度と水位の安定を得られてもすぐには孵化せず、餌となる微生物が増殖を始めて水中の酸素が一定量消費されるのを待ってから、満を持して孵化するのだ。

ヒトスジシマカの卵には、温度センサー, 水位センサー, 溶存酸素センサーなど現代の環境測定に用いられる高度な計測機能を備えている。卵の孵化のタイミングを計ることで気象や生息環境の変化に追従し、その後の繁栄を確実なものにしている。

小指の先ほどの小さな蚊には驚くべき生存戦略が秘められているのだ。

おすすめ商品

天然精油由来の忌避成分で作った赤ちゃんから大人まで使える虫よけアロマミスト。
さわやかな柑橘系の香り。

お取り扱い店舗について

ホームセンターやドラックストアでお買い求め頂けます。ご来店前にお近くの店舗へお問合せ下さい。
公式オンラインショップからもご購入頂けます。

こちらの記事も読まれています

一覧に戻る